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請求書管理の方法発行・受領の流れと小規模企業の選び方

この記事の目次

請求書管理には、自社が請求書を送って入金を確認する「発行側」と、取引先から受け取って支払う「受領側」があります。使う台帳、選ぶ製品、完了とするタイミングが違うため、本記事は二つに分けて説明します。

社員1〜30名ほどで、社長が事務を兼ねる会社や、一人で事務を担当する方を想定しています。自社が困っている側の章から、管理方法と確認すべきことを読める構成です。

発行側と受領側の違い

発行側は「契約条件の確認→請求書作成・承認→送付→入金確認」、受領側は「受付・内容確認→社内承認→支払準備→振込実行→支払結果の確認」が基本です。送付済みと入金済み、承認済みと支払済みを分けて管理します。

発行側は請求条件の確定・作成・承認から送付結果と入金明細の確認へ。受領側は受付・保存・内容照合から社内承認・支払準備・振込結果の確認へ。それぞれ完了まで追う流れ。
図1 発行側と受領側を見分けるための全体像。発行側は入金確認、受領側は支払結果の確認までを、それぞれ別の流れで管理します。

発行側 請求書を送って入金を確認する

ここからは、自社が取引先へ請求書を発行する場合の管理です。請求条件を確かめ、正しい請求書を送り、入金結果を確認するところまでを扱います。

請求書を発行する手順

  1. 請求に必要な情報を揃えます。契約・受注内容や納品実績から、宛先、取引内容、対象期間、単価・数量、請求額、支払期限を確認します。月額契約でも開始・終了月や単価変更を確認し、従量課金の数量は担当者が確定します。
  2. エクセルのひな形か請求書サービスに入力します。自社名・連絡先、発行日、取引日または対象期間、明細、請求額、支払期限、自社の振込先を記入します。発行日と対象期間を混同せず、税額の扱いなど不明点は確認してから確定します。
  3. 送る前に宛先、明細、合計額、期限、振込先を確認します。社内承認が必要なら、契約や納品実績と一緒に確認者へ渡します。前月の請求書を使う場合も、日付や金額をそのまま残していないか確認します。
  4. 取引先と決めた方法で送ります。メールならPDFを添付するなど、指定の宛先・形式に合わせます。送付した請求書を保存し、送付日と入金期限を台帳やサービスに記録します。送信エラーがないかも確認します。
  5. 入金期限に合わせて銀行の入金明細を確認します。請求先・金額・対象の請求を照合し、確認できたら入金日を記録します。入金が見当たらない、金額や名義が合わない場合は未完了のままにし、担当者が確認します。

記入イメージ(架空例・書類全体の見本ではありません):月額保守契約なら、宛先は「株式会社サンプル 御中」、件名は「ウェブサイト保守費」、対象期間は「当月1日〜末日」、支払期限は「翌月末日」のように整理します。実際の請求書には契約に合う具体的な日付・金額を入力してください。

適格請求書として発行する場合は、登録事業者であることを前提に、登録番号など所定の記載事項も必要です。上の手順や記入イメージだけで要件を満たすとは限らないため、国税庁の案内を確認してください。

参考 国税庁 適格請求書等の記載事項

発行と入金の状況を台帳に残す

発行台帳は1請求書を1行にし、管理番号、請求先、請求書番号、請求日、対象期間、金額、原本へのリンク、入金期限、送付日、担当者、承認者、実際の入金日を記録します。契約への参照と、確認事項・確認先・回答期限・訂正版との関係も残します。明細が必要なら別表にし、管理番号で結びます。

発行側では「作成中」「承認待ち」「送付済み」を管理し、送付後の入金状況は「未入金」「入金済み」「判断待ち」に分けます。送付しただけで入金済みにはしません。社長と事務担当者で回すなら、担当者が証憑と台帳を揃え、社長が請求条件の変更や金額を確認する分担から始められます。

発行側の管理方法を選ぶ

エクセルなどの表計算

請求先や担当者が少なく、毎月の請求条件がほぼ固定している場合は、エクセルなどの請求書ひな形と発行台帳、保存フォルダから始められます。必要な項目を追加しやすく、既存のソフトを使えば追加費用も抑えやすい方法です。一方、作成・転記・送付・入金確認には人の時間がかかります。二重入力や更新漏れが増えたら、請求書サービスへの切替を検討します。

発行用クラウドサービス

請求書の作成・送付をまとめたい場合は、発行用製品を比較します。入金確認も効率化したいなら、入金消込の機能と対象プランまで確認します。受領した請求書を支払申請へ回す製品とは、対象の工程が異なります。

freee請求書は、請求書の発行・送付を扱う製品です。CSV・PDFを用いた連携、送付状況の管理などを案内しており、入金消込や承認を含む機能はプランによって異なります。

参考 freee請求書の公式案内

マネーフォワード クラウド請求書は、見積書・納品書・請求書の作成、送付、保管を扱います。毎月の自動作成やCSVからの一括作成なども、対象プランを確認して比較します。

参考 マネーフォワード クラウド請求書の公式案内

月額だけでなく、利用人数、発行枚数、送付費用、承認機能、会計連携、初期設定の追加料金を含めて比較します。自社の請求書を使い、訂正、分割入金、合算請求を試してください。取引先情報や権限を更新する担当者は自社に必要です。解約後に原本と処理履歴を取り出せるかも確認します。

手間を減らすには、利用する請求書サービスで定期請求、CSV取込、会計ソフトとの連携などが使えるか、対象プランとあわせて確認します。毎月同じ請求なら定期作成、売上データが別にあるならCSV取込や既存連携が候補です。自動で作成する場合も、請求前に契約の終了や単価・数量の変更を確かめます。

入金確認は、金額が一致しただけで入金済みにせず、請求台帳と入金明細を照合します。不一致は確認待ちにし、担当者と期限を付けます。CSVの再取込や送付のやり直しで二重登録・二重送付にならないか、失敗に気付けるかも試してください。

補足として、独自の請求計算や既存システムとの連携がどうしても残る場合は、まず標準機能や設定で対応できるかを確認します。それでも足りない部分に限り、保守担当を決めたうえで個別対応を検討します。

発行側で起きやすい例外と移行時の確認

送付失敗はメールの送信結果で確認し、再送の担当者を決めます。送信ボタンを押したことと、取引先へ送付できたことを分けて扱います。

入金照合では、振込名義の違い、分割入金、複数請求の合算振込を確認します。判断できないものは根拠が揃うまで完了にしません。照合と督促・回収交渉は別の作業です。

訂正・再発行では旧版との関係を残します。週次で入金期限が近いものと期限超過を確認し、未入金への連絡担当も決めます。社長が不在になる場合は、請求条件や金額の確認をいつまでに済ませるかを決めておきます。

移行は直近の1か月分と、前月以前の未入金・訂正待ちを使って試します。通常の請求に加え、訂正版、同じファイルの再取込、分割入金、承認者不在を確認します。旧記録と総件数・合計額・未完了件数を照合し、切替後の送付経路は一つにして二重送付を防ぎます。

受領側 請求書を受け取って支払う

ここからは、自社が取引先から請求書を受け取る場合の管理です。受け取った内容を確認し、承認を経て支払い、銀行の処理結果を確認するところまでを扱います。

届いた請求書を支払う手順

  1. 届いた請求書を保存します。メール添付やダウンロードした原本データを会社の保存先へ入れ、取引先、金額、支払期限を台帳や受領サービスに記録します。
  2. 発注・契約・納品実績と照合します。取引内容、数量、金額、支払期限、振込先を確認し、同じ請求書を既に処理していないか調べます。不一致があれば取引先へ確認し、解決するまで支払対象に含めません。
  3. 社内で支払可否を確認します。請求書と照合の根拠を承認者へ渡し、誰がいつ支払うかを決めます。一人で処理する場合も、入力時と振込前で確認の機会を分けます。
  4. 承認済みの内容で銀行の振込手続きを行います。振込先、金額、振込日、口座残高を確認し、会社で決めた担当者が入力・最終承認します。支払一覧や銀行取込用データを作っただけでは、振込は実行されません。
  5. 指定した振込日に銀行の処理結果を確認します。予約受付と振込完了を区別し、エラーや承認待ちがないか確かめます。完了を確認してから支払日を記録し、請求書と振込結果をたどれる状態にします。

参考 三井住友銀行 振込・振替サービス操作ガイド

支払状況を台帳に残す

受領台帳は1請求書を1行にし、管理番号、取引先、請求書番号、請求日、対象期間、金額、原本へのリンク、受領日、支払期限、担当者、承認者、実際の支払日を記録します。契約・発注への参照、不備の内容、確認先、回答期限、訂正版との関係も残します。明細は必要に応じて別表にし、管理番号で結びます。

受領側の状態は「受領済み」「内容確認中」「承認待ち」「支払準備済み」「支払済み」などに分けます。支払一覧や銀行取込用データができても、振込完了ではありません。取込エラー、残高不足、銀行での承認待ちを確認し、銀行の処理結果を見て支払済みに更新します。

社長と事務担当者で回すなら、担当者が証憑・台帳・支払準備を揃え、社長が支払可否と最終承認を担うなど、実行までの役割を決めます。一人で行う場合も、入力時と実行前で確認の機会を分け、根拠を記録します。

受領側の管理方法を選ぶ

エクセルなどの表計算ソフト

受領件数と確認者が少ない場合は、受領台帳と保存フォルダから始められます。受付先、入力ルール、更新担当を決め、未承認・未払を一覧で追います。費用を抑えやすい一方、転記や期日の確認は手作業になります。複数人の承認待ちや更新漏れが繰り返されるなら、受領用クラウドを検討します。

受領用クラウドサービス

届いた請求書の読取り、支払申請、承認をまとめたい場合は、受領用製品を比較します。請求書を作って取引先へ送るための製品と取り違えず、承認経路、代理承認、差戻し、会計連携を確認します。

freee支出管理 受取請求書は、請求書を受け取り、保管・読取り・支払依頼などにつなぐ製品です。メール等での受領、AI-OCR、権限設定、承認の流れを確認する機能が案内されています。

参考 freee支出管理 受取請求書の公式案内

マネーフォワード クラウド債務支払は、受領・データ化、支払申請と承認、支払処理、仕訳連携を扱います。銀行とのAPI連携を使う場合は、対応金融機関や利用条件の確認が必要です。

参考 マネーフォワード クラウド債務支払の公式機能

Bill Oneは、郵送される紙の請求書やメールで届く請求書を代理受領し、データ化してクラウド上で一元管理するサービスです。申請・承認のワークフローや会計ソフトとの連携にも対応しています。毎月の受領件数と減らしたい作業を整理し、利用中の会計ソフトとの連携方法、必要な機能と費用を確認します。

参考 Bill Oneの公式機能案内

月額だけでなく、利用人数、処理枚数、初期設定などの追加料金を含めて比較します。既存の会計ソフトと連携できても、必要な承認や支払処理がすべて含まれるとは限りません。自社の請求書で訂正・重複・承認者不在を試し、原本と処理履歴の取り出し方も確認します。取引先情報、権限、承認経路を更新する担当者も必要です。

受領の手間を減らすには、請求書の受付、読取り、承認、会計ソフトへの連携のうち、どこに時間がかかっているかを先に整理します。その工程を受領サービスでまとめられるか、対象プランや利用条件を確認します。支払一覧や銀行取込用データの出力が必要なら、対応範囲も確かめてください。

読み取った金額や日付は確定前の候補として扱い、支払日がない請求書を推測で補完しません。不足や不一致は確認待ちにして担当者と期限を付けます。再実行時の二重登録を防ぎ、支払対象を重複して作らない設計が必要です。

独自の承認条件や既存システムとの連携が残る場合は、標準機能や設定変更で対応できるかを先に確認します。対応できない部分が業務上どうしても必要な場合に限り、保守担当を決めて個別対応を検討します。

受領側で起きやすい例外と移行時の確認

重複は取引先、請求書番号、金額、対象期間などで候補を探します。同額でも別取引の場合があるため自動削除せず、訂正版は旧版との関係を残します。

金額・数量が発注や実績と合わない場合は、確認が終わるまで支払対象へ含めません。差戻し理由と再確認の期限を記録します。振込先の変更依頼はメールだけで登録を更新せず、既知の連絡先など会社で決めた方法で真正性を確認し、承認記録を残します。

週次で支払期限が近いものと期限超過を抽出し、未承認・情報不足を先に片付けます。当日・翌営業日の支払いと承認待ちは日々確認します。休日や銀行の受付時間を踏まえた社内締切、承認者不在時の代理確認者または事前承認の締切も決めます。

移行は直近の1か月分と、前月以前の未払・差戻し中・訂正待ちを使って試します。通常の1件に加え、訂正版、同じファイルの再取込、承認者不在を確認し、どこで止まり、誰に通知され、何を確認して再開するかを確かめます。旧記録と総件数・合計額・未完了件数を照合し、切替後の振込実行経路は一つにして二重支払を防ぎます。

発行側と受領側に共通する運用と保存

契約と請求と入出金は管理番号でつなぐ

発行側は、販売契約の請求先、契約期間、単価、締め日、支払条件、数量の確定者を整理し、発行台帳と入金予定へつなぎます。受領側は、契約・発注と受領請求書を照合し、承認済みの支払予定につなぎます。

一元管理でも、発行台帳と受領台帳は分けて構いません。契約条件は契約台帳、請求実績はそれぞれの台帳、証憑は保存先、と正本を決め、管理番号やリンクで参照します。同じ金額を複数の表に手入力する箇所を減らしつつ、入金と支払いの状態は混ぜないことが重要です。

資金の入出金予定に使う場合は、確定した請求・支払と、契約から推測した見込を分けます。請求書だけでは給与、税金、保険料、返済などが揃わないため、これらの情報と開始残高も別途集めます。未確定の予定を確定額のように扱わず、不足情報の確認先を残します。

契約・発注台帳、請求台帳、入出金結果を管理番号でつなぎ、請求台帳から原本データと証憑を参照する関係図。
図2 契約条件、請求実績、原本、入出金結果は別々の正本を管理番号でつなぎます。金額の転記を減らしても、確定と承認の責任は残ります。

正本と保存場所と保守担当を決める

台帳をメールで配ると最新版が分かれます。発行・受領それぞれの正本を一つにし、金額や状態の入力形式を揃え、計算式の上書きを防ぎます。切替日以降の旧台帳は参照用にし、最初の締め処理で未完了や二重計上が残っていないかを確認します。

原本は個人フォルダを避け、必要な人がアクセスできる会社管理の場所へ揃えます。各台帳から原本を開けるようにし、削除・編集できる人を限定します。担当者不在時にも原本を探し、未完了一覧を再現できることが大切です。

サービスの定期処理やデータ連携を使う場合は、利用料金だけでなく、設定を更新する担当者と停止時の確認手順も決めます。失敗通知に加えて処理済みの件数も照合し、通知が来ないことだけで正常と判断しません。

標準機能では足りず個別の仕組みを追加する場合は、初期費用だけでなく、変更時の改修や担当者交代時の引継ぎまで見込みます。処理内容と設定の記録を残し、障害時の連絡先と、利用をやめる際のデータの取り出し方を確認します。

自社に残す確認と任せる作業を分ける

発行側では請求条件・金額の確定、受領側では支払可否・銀行での最終承認など、判断を担う人を明確にします。確定した情報から請求書や一覧・データを作る作業は、手順を揃えると外部にも任せやすくなります。

外部に任せる際は、発行側・受領側のどちらの工程かを示し、対象書類、入力元、確認者、締切、納品物、例外時の連絡先を決めます。支払一覧の作成を任せても、支払内容の確認や銀行での最終承認を誰が担うかは別途明示します。一つの工程から試し、確認待ちが増えないかを見て範囲を広げましょう。

電子データの保存と法令対応を別途確認する

請求書の管理方法を決める際は、日々の進捗管理に加え、保存の要件も確認します。国税庁は、保存義務のある電子取引データについて、原則として改ざん防止措置、内容を確認・出力できる環境、日付・金額・取引先による検索を示しています。電子で授受した請求書は、印刷物だけに頼らず、電子データの保存を確認してください。

改ざん防止措置には、訂正・削除履歴が残るシステムの利用のほか、改ざん防止のための事務処理規程を策定し、運用・備付けする方法もあります。専用システムの導入だけが選択肢ではありませんが、規程を作って終わりにせず、実際の保存・訂正手順と一致させる必要があります。

検索のために表計算の索引簿や規則的なファイル名を使う方法も示されています。ただし、台帳を作ればすべての保存要件を満たすという意味ではありません。検索要件の免除や猶予措置には条件があり、紙をスキャンする場合も別の要件があります。保存期間、インボイスの扱い、自社への適用は、国税庁の最新資料と税理士等に確認しましょう。

参考 国税庁 電子取引データの保存方法

参考 国税庁 電子帳簿等保存制度特設サイト